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エンゲージメント

日本企業のエンゲージメントは世界最低水準…その理由とは?

公開日:2020.4.3

    「モーレツ社員」「企業戦士」が奮闘し、昭和の高度成長を成し遂げた国、日本。しかし現在は、会社と従業員の関係性は変化し、相互のつながりを示すエンゲージメントが、世界で最低の水準にあるといわれています。その原因と、現状を打破する方策を探っていきましょう。

    働き手の意識変化により、エンゲージメントの低下が顕著に

    日本企業におけるエンゲージメントの低さは、アメリカの調査会社・ギャラップ社が2017年に行った調査によって明らかになりました。調査が行われた139か国中、日本の順位はなんと132位。エンゲージメントが高い従業員の占める割合の平均は6%、それ以外の従業員は70%がやる気がなく、24%が周囲に不満をまき散らしているという結果でした。

    この状況を放置しておけば、やる気のない従業員がやる気のある従業員の足を引っ張り、業績ダウンの悪循環が進行する一方です。

    戦後の日本は「焼け野原からの復興」「欧米に追い付け、追い越せ」をスローガンに、多くの人が情熱やハングリー精神を持っていました。働けば確実に儲かり、年功序列で出世できた時代でもあります。会社と従業員は、強い主従関係で結ばれていたと言えるでしょう。

    高度成長期からバブル期にかけて、日本人の生活は確実に豊かになり、ブランド化された「ジャパン」の価値は国際的にも認められるようになりました。しかし、それが当たり前になるなかで、いつしかハングリー精神が失われていったのです。

    バブルがはじけ、年功序列や終身雇用制の崩壊なども進むなか、人々の働き方も変わっていきました。キャリアアップのために転職するのが当たり前となり、会社と社員の結びつきも弱くなっていったのは自然なことだったと言えるでしょう。

    しかしながら、現代日本のエンゲージメントの低さを「時代の流れだから」と放置してしまうのは短絡的過ぎます。「どうすればエンゲージメントを向上させられるか」を考え、真の働き方改革を行っていくことが経営者にとっての急務です。

    従業員のネガティブな感情と会社側の誤った認識が障害になる

    エンゲージメントを高めるため、会社側が取り組むべきなのは、個人が成長する機会の創出や、社内コミュニケーションが円滑になるような体制づくり、評価制度の整備などです。そうした施策を通じて、やる気のある従業員が増え、業績がアップし、離職率も下がるといったメリットを享受できます。

    このような好循環が生まれないエンゲージメントの低い会社では、従業員が以下のようなネガティブな感情を抱きがちです。

    • 意見を言えない雰囲気がある
    • 成長できる気がしない
    • 何を期待されているかわからない
    • 正当な評価がなされていない気がする
    • 会社に貢献できていると思えない
    • 目標が不明瞭で何をすべきかわからない
    • 顧客とのつながりが見えない
    • 会社のビジョンに共感できない
    • やりがいのある仕事が回ってこない

    従業員が密かに抱いているこうした感情を解消することが、エンゲージメントを高めるためには不可欠です。

    従来の日本で主流だった「雇う側・雇われる側」という主従関係も、エンゲージメントの低さに少なからぬ影響を及ぼしているでしょう。

    主従関係においては、忠誠度や従業員満足度が、会社と従業員の関係を示す指標として重視されていました。従業員満足度を上げるには、労働時間や休日といった労働条件、給与、福利厚生の改善が考えられます。改善すれば従業員の会社への忠誠度は高まりますが、職務そのものに対する熱意は変わらないため、会社の業績アップにはつながりません。従業員満足度を高めることは大切ですが、一時的なモチベーションアップや不満の解消といった効果しか期待できません。

    心理学的には「不満を解消する施策では、対象者の心を満たせば満たすほどより多くを望むようになる」ことが知られているため、根本的な解決にはならず、むしろ経営者にとっては頭の痛い問題になりかねません。

    一方、エンゲージメントについて考える場合、会社と従業員は相互に貢献しあうパートナーシップで結ばれ、いわば対等な間柄となります。エンゲージメントがうまく向上しない会社では、不満を解消させる施策と、満足感を上昇させる施策を正しく使い分けられていない可能性があります。

    従業員を知り、思いに応えれば、エンゲージメントは高まる!

    「活躍している従業員が辞めてしまう会社」「幹部候補が辞めてしまう会社」は、エンゲージメントの側面で深刻な問題を抱えていると考えられます。それは、会社側からの思いが一方的で、従業員とパートナーシップを築けていなかったことの証であり、他の従業員とも同様な状態になっていることが考えられるからです。十分なエンゲージメントサーベイを行い、適切な施策を講じることで、状況を改善していきましょう。

    現時点でエンゲージメントが高い「6%」の従業員を、どう活かしていくかも考えなければいけません。彼らのやる気が周囲に広まり、業績アップにつながる循環を生み出せれば最良ですが、やる気があるからといって働かせ過ぎて体調を崩してしまうようでは逆効果です。

    会社側は従業員のコンディションや、プライベートな時間の確保、ワークライフバランスのチェックなどにも気を配らなければいけません。会社側が、従業員の成長を助け、健康を守るスタンスを打ち出すことも、エンゲージメントを高めるために有効です。

    まとめ

    働き方改革が叫ばれるなか「ブラック企業」のレッテルを貼られれば会社の評判は失墜します。しかしながら、業績を上げるためには、汗水を流し、手間暇をかけて仕事をしないわけにはいきません。会社側は、従業員個人が抱える仕事の質と量のバランスに目を配り、社員とともに成長できる環境を整えていかなければならないでしょう。

    日本企業のエンゲージメントの低さを変えていくには、現状を知り、経営者と社員が一丸となって行動していくしかありません。今回紹介したエンゲージメントが低下してしまう理由や背景に着目して、エンゲージメントの高い会社を目指していってください。


    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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