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エンゲージメント

働きやすく働きがいのある 環境をつくりたい ~士業業界の先駆者が成功の秘訣を語る ビッグファーム~

公開日:2019.8.2

    税理士をはじめとする約200名の専門家で構成されるTOMAコンサルタンツグループ。
    創業から停滞、成長、そして事業承継。事務所の変遷とこの先のビジョンを代表取締役社長市原和洋氏に聞いた。※記事提供:月刊プロパートナー

    「明るく・楽しく・元気に・前向き」に

    TOMAコンサルタンツグループのルーツは約130年前、現在の東京駅近くに開業した代書屋(現在の司法書士事務所)にさかのぼります。由緒ある士業の家系に生まれたのがTOMAの創業者である藤間秋男です。

    創業から35年、バトンタッチする頃には従業員200名規模にまで成長したTOMAコンサルタンツグループですが、順風満帆というわけではありませんでした。開業から10年は経営も順調でしたが、やがて藤間のトップダウン方式が原因となり停滞期を迎えました。社員は定着せず、幹部の退職も相次ぐような状態。その解決策を模索している中で、藤間は松下幸之助の言葉から経営理念の大切さに気づきました。そして、「明るく・楽しく・元気に・前向き」という、藤間自身の個性を活かした経営理念に行き着いたのです。

    社員の幸せ、働きがい、やりがいを第一に考え、これまで藤間ひとりでやっていた仕事も、社員を信じて任せてみる。そのことで、社内の雰囲気も良くなり、社員の定着率も上がりました。この理念は、藤間が現役を引退した今でも受け継いでいるもので、顧問契約書にも記載し、お客様へも宣言しています。社員が明るく・楽しく・元気に・前向きでいることで、お客様である中小企業の経営者にもプラスの影響を与えることができる。それこそ一つのお客様へのサービスであると考えているからです。

    創業者の引退宣言
    熱い理念をつなぐ

    2017年、藤間が65歳の時に事業を承継しましたが、その10年前、藤間は社員に向けて「65歳で引退する。この中の誰かが代表になる」と宣言しました。宣言当初は、まったく実感が湧かず、「本当に藤間は引退するのだろうか」と思っていましたが、藤間は本気のようで時を重ねて現実味を帯びてきました。

    引退宣言がきっかけとなり、だんだんと職員の意識が変わっていったのです。自分たちの行動次第で、さらに理想的な事務所を実現できるのではないか、と思うようになりました。私自身、入社当時は、ある程度経験を積んだら独立しようと考えていましたが、自分たちの手で事務所をより良く変えることができるという可能性に魅力を感じ、TOMAにいたいと思うようになっていました。

    2015年に私が後継者に指名されたあと、ステップを踏んで徐々に権限移譲していきました。事業承継は、ある日いきなり引き継がれる、ということはできません。時間をかけて併走してこそ、スムーズな承継が実現するのではないでしょうか。

    承継にあたって、藤間と二人で行っていた面談は、今でも続けています。それは、情報共有のためでもありますが、時には藤間会長からアドバイスを受けることもあり、大変有意義な時間となっています。

    このような世代交代は、どこの事務所でも起こることですが、TOMAにとっても、新たな時代の幕開けとなる大きな出来事でした。そしてそこから、事務所の方向性について全員が考える体制となり、職員の意識が変わりました。一丸となって目標に取り組むという姿勢がより強固になったのではないかと考えています。

    参考記事:慣れないコンサルティングに大苦戦…事務所を実験台にして新たな価値提供を実現 ~しくじり経営学~

    ワンストップで顧客の経営を支える

    代表取締役社長 市原和洋氏

    弊社の強みであるワンストップサービスも、成長を語るうえで重要な要素の一つです。私たちがビジョンに掲げている「100年企業創り」を実現するために体制を整えてきました。「TOMAに相談すれば、すべて解決できる」。お客様からそう評価されるように、複数士業が集まっているTOMAグループには、顧客の課題に対するサービスが揃っています。

    複数士業が集まっていると、顧客の課題を多面的に解決することができます。また、それだけではなく、顧客自身ですら気付かない課題を捉えることもできるため、元々求められていたものにプラスαのサービスを提供することができます。

    また、このサービスを実現するために、士業問わず必要な要素があります。それは経営者の視点を持つということです。職員一人ひとりが経営者視点になることで、企業の課題を発見することができ、より顧客と近い目線でサポートすることができます。

    TOMAでは、他部署、他士業のタイムリーな情報を得るための勉強会を月一のペースで行っています。それぞれの専門分野のみに特化することなく、他分野の情報に対しても常にアンテナを張っておくことで、より多面的な視点を持つことができます。それがひいては、顧客の課題をすべて解決するワンストップサービスのための、欠かせない要素の一つにもなっているのです。

    新しい風を職員全員で事務所に吹き込む

    私は、組織をまとめるリーダーとして、率先垂範することを心掛けています。ですが、それより大事にしていることは、先代から受け継いだ、社員の働きがいと成長を大事にするという想いです。

    職員が、ただ上からの指示で動くことなく、挑戦をすることで、個人のやりがいも生まれ、グループ全体にもプラスの影響をもたらします。だからこそ、その気持ちを大事にしたいと考えています。

    同時に組織全体の風通しも気をつけていることの一つです。TOMAを語るうえで、「風通しの良さ」についての話は欠かせません。社員全体が互いに関わりやすい環境をつくることで、共通意識を持ち、一丸となって目標に向かうということはもちろん、互いの状況、業務内容を把握することができる。それが、ワンストップサービスの提供に繋がっているのです。
    そのためにTOMAが行っているのは、部門間の壁ができないよう、グループ内の全組織をワンフロアにまとめることです。

    前のオフィスでは、一つのビルではあったものの、フロアが分かれていましたが、2011年にオフィスを移転した際に、全てを丸の内のワンフロアに集結させました。部署ごとの仕切りもありません。他の専門家の知見が必要なときには、気軽に話しかけ、意見交換をすることができます。グループウェアで情報共有するなど、連携を取りやすい仕組もつくっています。

    より働きやすく、働きがいのある環境にするために、常に試行錯誤を重ねています。職員がいきいきと幸せに働く姿は、顧客にも良い影響を与えることができる。幸せな職員が、お客様を元気にし、幸せにする。だからこそ、これから先も、社員・家族の幸せづくりを第一に考えた経営をしていこうと考えています。海外進出、新サービスなどさまざまなチャレンジを行っていますが、その核となる部分は変わりません。


    TOMAコンサルタンツグループ
    創業/1982年
    従業員/約200名
    本社所在地/東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館3階


    記事提供
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    この記事を書いた人

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