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労務110番

「労働時間中に選挙に行きたい」と言われたら、どう回答したらよい?

公開日:2019.2.6

    当社はブライダル事業をしており、毎年11月が繁忙期となります。昨日、ある従業員から「11月に行われる選挙に行きたいので、業務の途中で抜けてもいいですか?」と聞かれました。業務量を考えると、仕事を抜けられるのは正直困ります。この申出を断ることは可能でしょうか?

    【結論】労働時間中に従業員が選挙へ行くことを拒むことはできません。

    ただし、選挙行為の妨げにならない範囲であれば、従業員から請求された時間を変更することは可能です。選挙以外にも「公民としての権利」と「公の職務」に該当する行為も扱いは同じです。

    公民としての権利

    ・選挙権
    ・被選挙権
    ・最高裁判所裁判官の国民審査
    ・行政事件訴訟法に規定する民衆訴訟
    ・公職選挙法に規定する選挙または当選の効力に関する訴訟
     など

    公の職務

    ・衆議院議員その他の議員の職務
    ・労働委員会の委員の職務
    ・労働審判員の職務
    ・訴訟法上の証人としての出廷
    ・選挙立会人の職務
     など

    「公民としての権利」で挙げられている民衆訴訟は、法秩序の維持もしくは行政の適法性の確保を目的としています。自己の利益を目的とした一般的な訴訟は、「公民としての権利」に該当しません。

    法律で決まっているとはいえ、多忙な時間にいきなり仕事を抜けられるのは困るでしょう。そこで労基法7条では、「権利の行使または公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる」とも定められています。
    つまり、選挙に行ける範囲であれば、従業員が仕事を抜ける時間を変更できるのです。飲食店であれば、ピークとなる昼食や夕食時をはずせます。

    選挙に行くための時間を与えた場合、「業務を抜けた時間も給料を支払わないといけないのか?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
    結論からいうと、業務を抜けた時間に対して給料を支払う義務はありません。ただし、就業規則の記載内容によっては支払わないといけなくなる可能性があります。「不就業の時間についての賃金は支払わない」といった記載をしておかなければいけません。


    【記事提供元】安全スタッフ2017年6月15日号
    http://www.rodo.co.jp/periodical/staff/

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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