HR BLOG

労務110番

会社のHP上に掲載すれば、育児・介護休業法の周知義務は満たしていますか?

ベテラン女性従業員が、老親の介護を理由に退職を申し出てきました。しかし、本人は介護休業について、ほとんど知識がない状態です。当社では、育児介護休業規程を会社のHP上で閲覧できるようにしていますが、育児・介護休業法で定める『休業等の定めの周知義務』を果たしているといえるのでしょうか?

【結論】周知義務は果たしています。

ただし“従業員が家族の介護をしている”と分かった時点で、本人に育児介護休業規程の閲覧を促すことをおすすめします。

介護を理由に従業員を失うことは、会社にとって大きな損失となります。そのため、育児・介護休業法では“介護離職の防止”を目的として保護規定の拡充を図っています。介護休業については、平成29年1月1日から3回の分割取得等が可能となっています。しかし、すべての従業員がこうした情報に敏感とは限りません。そのため、育児・介護休業法第21条では、事業主に対して『休業等に関する定めを周知する』よう求めています(努力義務)。

また、就業規則で定めた育児介護休業規程は、労働基準法第106条でも周知義務が課されています。両規則の関係については『事業主が労働基準法の法定事項を就業規則に定めているときは、育児・介護休業法第21条は“入念規定”である』と説明されています(平成28・8・2雇児発0802第3号)。

労働法では、休暇や賃金に関する事項を“絶対的必要記載事項”と定めています。一方、育児・介護休業法において周知が望ましいとされているのは、以下の通りです(同法第21条1項、育介則<育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則>第70条)。

.休業中の待遇
.休業後の賃金、配置その他の労働条件
.休業後の労務提供の開始時期
.介護休業中の社会保険料の支払方法

育児介護休業規程で上記事項をすべて網羅していれば、必要な情報の提供体制が整っていると評価できます。ただし、平成29年10月1日から、育児・介護休業法第21条1項が、下記のように改正されているため、注意が必要です。
『事業主は、育児休業および介護休業に関して、あらかじめ所定の事項を定めるとともに、労働者に周知させるための措置(労働者もしくは配偶者が妊娠し、もしくは出産したこと、または労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、労働者に知らせる措置を含む)を講ずるように努めなければならない』。

今回のケースでは、育児介護休業規程を会社HP上で公開しているので、周知義務は果たしているといえますが、本人に直接周知を知らせてはいません。そのため、まずは、自社の育児介護休業規程の内容が法律上の規定を十分満たしているかを確認し、要介護状態が発生した時点で本人に規程を閲覧するよう促すとよいでしょう。

一覧へ