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労務110番

既往歴を隠していた従業員が精神疾患を再発し働けなくなった場合、解雇は可能なのか?

ある従業員が入社直後、精神疾患にかかりました。話を聞くと、過去に同じ病気を患っており、それを隠していたことが発覚しました。結果、働くことが難しい状況となってしまい、この従業員を解雇したいと思うのですが、解雇することは可能でしょうか?

入社前に既往歴の申告を求めましょう

採用面接時に既往歴を聞くことは、プライバシーに関わることなので、聞かない会社も多いようです。
しかし、採用直後に病気を再発するなど、業務の遂行に支障が出るケースもあり、「罹患歴を聞いていれば……」と後悔することも少なくないようです。

実は、面接時に既往歴の申告を求め、その情報を取得することは、法的に問題ありません。ただし、業務に関係のないHIVやB型・C型肝炎などの情報収集は禁じられています。

そのため、面接の際に「業務遂行に関して健康面で問題はありませんか?」などのように聞くことが望ましいでしょう。もしも聞きづらければ、「デリケートな事柄ですので、お答えしたくないということであればもちろんお答えしなくても結構です」と前置きして聞いてみましょう。重要なことは、こちらが聞いたことに対して“うそを言った”あるいは“答えなかった”という事実を残すことなのです。

明確な懲戒根拠があれば解雇が認められるケースも

ではもし、その際に過去の病歴を隠してうそを申告した場合、解雇することはできるのでしょうか。就業規則の懲戒事由に『入社時に署名・押印した“うそ偽りのない旨”を示す誓約書に違反した場合』などの明確な懲戒根拠があれば、解雇という判断もできます。ただし、解雇については労働契約法第16条にて『解雇は、客観的に道理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする』と定められています。

そのため、解雇ができるか否かについては、“業務遂行にどれだけ重大な影響を与えるか”また“会社にどれだけ損害を与えたか”などによって判断することになります。

解雇のタイミングに注意

解雇となった場合にも注意が必要です。
労働基準法第20条1項にて『使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。ただし、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない』(一部要約)とされています。

精神疾患の既往歴を隠蔽したことによる解雇については、“就業規則の規定”や“業務へ支障をきたす度合”により、判断することになります。万が一、解雇について揉めて裁判で争うことになれば、会社にとっても従業員にとっても負担が大きくなります。
そのため、“うそをついていた”という事実をもとに、本人と話し合いをし、自主退職を促すのがよいでしょう。

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