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労務100番

内定辞退を申し出てきた学生に損害賠償は請求できる?

新卒で入社予定の学生が、入社日直前に内定辞退を申し出てきました。今まで面接に費やした費用や時間などが全部無駄になってしまうので、損害賠償を請求することは可能でしょうか?

入社2週間前までの申出なら損害賠償の請求は不可!

長い時間と費用がかかる採用活動において、内定辞退は大きな悩みの種となるでしょう。

最高裁の判例によると、内定は『始期付解約権留保付労働契約』と解釈されています。これは、入社日から働くという“始期”と、従業員として不適格であると判明するなど、“特別な事情がある場合は使用者から内定を取り消すこともある”という2点が盛り込まれた契約を意味します。つまり、企業と学生間で労働契約が成立することになるのです。

よって、内定者より内定辞退を行うということは、“労働契約の解除を申し出る”ということになります。新卒社員の内定は“契約期間の定めのない労働契約”(=契約終了日が決められていない労働契約)の場合がほとんどでしょう。そのため、『当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する』(民法627条1項)が適用されます。

つまり、“内定者は特別な理由がなくても、いつでも内定辞退を申し出ることが可能であり、なおかつ申入れから2週間後に労働契約が解除される”ということです。

なお、労働契約の解除が効果を持つのは、申出から2週間後となります。そのため、入社日の2週間前までに内定辞退を申し出た場合は、損害賠償を請求することができません。

今回のケースはどうなる?

では、入社日の前日など、2週間前を過ぎて内定辞退を申し出てきた場合、損害賠償を請求することはできるのでしょうか? 結論から言えば、難しいでしょう。

前述のとおり、労働契約の解除が効果を持つのは、申出から2週間後です。そのため、入社日の前日に申し出てきた場合、入社日から13日間は労働の義務が発生します。しかし、内定者が出勤しないなど、労働の義務を放棄したことにより会社に損害が発生すれば、損害賠償を請求できる可能性はあるでしょう。ただし、ここでいう“損害”は、海外研修のように採用に際して高い費用をかけた場合などに限定されていますので、一般的に損害賠償請求は厳しいといえます。

辞退を防ぐ密なコミュニケーションを!

内定辞退を防ぐためには、内定者とコミュニケーションを取ることが大変重要となるでしょう。最近では、内定後に以下のような取り組みを行う会社も増えてきているようです。

●人事担当者が内定者宅を訪問し、内定者の両親に会社の説明を行う
●メンター制度を活用し、内定者の不安を解消できるよう心掛ける
●内定者にアルバイトとして働いてもらい、社内の雰囲気を味わってもらう など

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