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労務110番

豪雨災害により被災した社員にカンパを送りたい。社員の賃金から義援金を一律控除は可能か?

公開日:2019.5.24

    被災した営業所に、社員達からカンパを送る計画が持ち上がりました。
    救援支援金を集める場合、社員の任意参加がベターだとは思いますが、ごく少額を社員の賃金から一律控除する方法というのは認められないのでしょうか?

    【結論】

    仮に労使協定を締結していても、原則として労働者の同意を得ずに賃金から一律控除することは認められません。カンパに応じる意思がない労働者からの賃金控除は、労働基準法に違反するためです。

    賃金と労使協定の関係

    賃金は、その金額を直接労働者に支払うことが原則です(労基法24条)。
    その例外として、

    (1)法令に別段の定めがある場合
    (2)事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等との書面による協定(労使協定)がある場合

    は、賃金から一部の金額を控除することが認められています(賃金控除協定)。
    「(1).法令に別段の定めがある場合」とは、所得税・地方税、社会保険料が該当します。(2)の『労使協定』により控除が認められているのは、購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費など事由が明白なもののみに限定されています。

    賃金からの一律控除は、基本的にナシ!

    厚生労働省ホームページの『労働基準法24条についてのQ&A』では「……労働者が自主的に募金に応じる場合は、一般的にはその労働者が当然に支払うべきことが明らかなものと考えられるため、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等との書面による協定を締結し、その労働者の賃金から募金額を控除することは可能」としています。
    ただし同時に「……労使協定があったとしても、募金に応じる意思がない労働者の賃金から義援金として一律に控除することは認められず、労働基準法違反」としています。
    賃金からの一律控除は、賃金控除協定があれば無条件に控除が認められるわけではないため、注意しましょう。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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