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派遣・契約社員を活かせる企業の共通点は○○!? ロバート・ウォルターズ・ジャパンが語るその秘訣とは?

公開日:2019.9.18

    グローバル化が進むなか、外資系企業や海外事業を手がけている日系企業において、英語を扱えるグローバル人材の需要が高まっています。そのような流れを受けて、バイリンガル・スペシャリストの人材紹介サービスに特化して事業を展開しているのが、ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社。正社員、派遣・契約社員などのさまざまなオプションで、幅広い業種・職種に対応し、グローバル企業の人材採用や求職者の転職ニーズに対応しています。

    今回は、成長している企業が派遣・契約社員をどのようにして活躍に導いているのか、そのコツや手法をロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 アソシエイト ディレクターの阿部容子氏に伺いました。

    なぜ今、派遣・契約社員の需要は職種・業界問わず増えているのか?

    まず、派遣・契約社員の需要が近年高まっている背景として、外資系企業の日本進出や日系企業の海外進出があげられます。英語でコミュニケーションが取れる人材をプロジェクトにアサインしたり、業務を海外にアウトソースした際に現地の人とやり取りしたりするために雇用するケースが多いです。他にも日本が抱えている社会問題とも絡んでおり、少子高齢化に伴う労働人口の減少、外国人技術者などの雇用の増加なども需要が増えている要因です。日系企業では、専門性の求められる仕事を正社員に任せる傾向にある一方で、外資系企業ではそうした仕事でも派遣・契約社員を活用して労働人口の減少に対応しています。

    特に派遣・契約社員の需要が増えている業界は、大手IT企業やスタートアップなどで、プロジェクト単位で雇用するなど、まだ常勤の正社員を雇うほどの仕事量や予算の余裕がない場合に派遣・契約社員に目を付ける企業が多いです。職種に関して、一番需要があるのはIT技術者ですが、経理、秘書、通訳者など、職種は多岐にわたって需要が増えている印象です。特に、外資系のグローバル企業などでは、CFO(最高財務責任者)のポジションなどに採用していることもあります。

    一般的な派遣・契約社員の活用に加えて、介護休暇、産休、育休取得者の代替要員として、また新規プロジェクトの立ち上げ時などに雇用するケースもあります。正社員を雇う場合は、面接を何度も行ったり、入社日の設定が前職との関係で先に伸びてしまったりして、入社までに時間がかかります。しかし、派遣・契約社員の場合、各企業の要望を聞きながら、アサインできる人をエージェントが探しますので、最短一週間で就業開始できるなど、比較的スピーディーに業務遂行に適したスキルの人材を採用できます。

    その他のメリットとしては、そのポジションやプロジェクトでの役割に対して適任かを見極めて正社員に切り替えることができます。はじめから正社員として雇い、もしそのポジションやプロジェクトで求められるパフォーマンスを発揮できないなどのリスクを考えると、まず派遣・契約社員で雇用するほうが、双方のメリットが大きいのです。

    成長企業に共通する考え方は「優秀な方を積極的に正社員登用すること」

    成長している企業が派遣・契約社員を雇う際、共通する考え方として、「優秀な方であれば、積極的に正社員登用をする」ということです。本来であれば、正社員採用の際に、面接で企業文化や業務で求められる能力・スキルと適合するかを見極められれば一番いいのですが、その見極めが難しいこともあります。急速な成長を遂げている企業では、まず派遣・契約社員の形態で雇用し、自社のカルチャーに合う人材、能力の高い人材かを見極めたうえで正社員に登用するという手段を上手く活用しています。長期的な雇用や正社員登用を求める派遣・契約社員に対しては、パフォーマンスと能力を厳正に評価したうえで積極的に正社員登用することで、優秀な人材の確保に成功している企業も数多くあります。最近では、ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態であること)や学びなおしの意識から、サバティカル休暇制度(長期間勤務した社員に対して、企業が長期の休暇を与える制度)を導入する企業も散見するようになりました。そのため、サバティカル休暇取得者の代替要員として、有期契約の派遣社員を活用している企業もあります。会社で働きながら自分のビジネスを進めたい方など、働き方に対する多種多様な価値観に対応し、採用時の雇用形態を柔軟に決めていることも成長している企業の共通点の一つだと思います。

    派遣・契約社員の方を雇うということは、そのポジションや業務が会社にとって必要だということです。雇用形態によって待遇などを線引きするのではなく、「会社を一緒につくっていく一員」として迎え入れましょう。そのためにも、まずは上の役職の方が「全員が会社に貢献している」というメッセージを発していきましょう。派遣・契約社員の中には、長期雇用を目指していたり、扶養の範囲内でしか働けない、ダブルワークで働きたいなど、さまざまな働き方をしている人がいます。大事なのは、雇用形態にとらわれるのではなく、個人がどういった働き方を望んでいるのかという価値観を認めることです。そのうえで、一人ひとりの価値観に合った働き方の選択肢を用意してあげましょう。

    また、個人の考えと企業の文化をすり合わせるために、エージェントを上手く活用するのがコツです。多くの日系企業では、求めるスキルセットだけで人材を探すことが一般的ですが、スキルだけで探すのではなく、その人材が会社の文化と合っているのか、募集背景、採用の目的などをエージェントとすり合わせると良いでしょう。また、採用の時だけでなく、どのようなプランで何をやってほしいのか、今後どのように成長していってほしいのかといった将来のビジョンまで示してあげられると優秀な人材の定着にもつながります。

    派遣・契約社員の方に活躍してもらうには、「入社前の準備」、「コミュニケーションを密に取ること」、「正当な評価をすること」などオンボーディングが重要

    多くの企業では、派遣・契約社員の方に「どこまで業務をお願いすればよいか分からない」という状況に陥っていたり、コミュニケーション不足が原因で、適切に評価ができていないことが多いです。そういった課題を解消して存分に力を発揮してもらうために、企業側は「入社前の準備」、「派遣・契約社員本人とのコミュニケーションを密に取ること」、「正当な評価をすること」を意識してほしいですね。

    まず、入社前の準備として基本的なことですが、パソコンなどのツールの設定を万全にし、「この人が○○からこのチームに加わります」と社員に周知しておくことが大事です。一日中一緒にいて、「この人誰だろう」とチームメンバーが思うことがないようにしてあげてください。
    また、オリエンテーションやオフィスツアーは誰がするのか、研修プログラムはどのような内容なのかといったことも準備しておく必要があります。担当が付いていた業務を引き継ぐ場合は、どのような業務を誰からどのようにして引き継ぐのかを事前に確認しておかないと、スムーズに業務に移ることができません。どれも基本的なことばかりですが、これらすべての準備を整えて迎え入れている企業はあまり多くありません。

    そして、入社前の準備とあわせて、「派遣・契約社員の方に何を期待しているのか」を明確にしておくことも重要です。先に述べた、「どこまで業務をお願いすればよいかわからない」という状況は、この期待のすり合わせが不十分なために起こります。「入社後はここまでこういったプランでやってほしい」ということを、派遣・契約社員の方と企業が事前に共有すると良いでしょう。これをしておくだけで、派遣・契約社員の方のモチベ―ションは高まるはずです。この期待のすり合わせは、特にプロジェクト単位でアサインされる場合に非常に重要になってきます。社員が退職した時の交代として迎え入れた際は、業務内容などが明確なので比較的スムーズに業務に取り掛かることができるかと思います。しかし、プロジェクトへのアサインでは、現場の人たちも自分が抱えている仕事があるので、気にかけてあげられる時間がなかなか取れないというケースをしばしば目にします。これが原因で、優秀な方をアサインしても、力を発揮できずに辞めてしまうこともあります。こうした状況に陥らないためにも、企業側が「思った成果をあげられていない」と感じた場合は、派遣・契約社員の方に何をしてほしいのかを明確にし、成果を上げられる機会をきちんとつくってあげてください。

    今よりも活躍するためには「専門性」「積極性」「コミュニケーション」が重要

    派遣・契約社員の方たちが今より活躍していくためには、「高い成果を出せる専門性」と「積極性」、そして「コミュニケーション」が重要です。高い成果を出すためには、専門性を身につけることが欠かせません。英語を扱える人材に対しては、IT、会計・経理、システム、サプライチェーン、デジタルマーケティング、ロジスティクスなどさまざまな分野で需要があります。自分の好きなこと・得意なことを見つけて追求していくことが、専門性を身につける近道だと思います。

    マインドセットについては、本人のモチベーションにもよりますが、ビジネスのために何ができるかを考えて、積極的に取り組むことが大事です。そして、職場で上手く馴染んでいただくためには、挨拶や仕事の質問をしたりして、コミュニケーションを自ら積極的に取り、職場に馴染む努力をすると良いと思います。

    まとめ

    グローバル企業の海外進出や日本の抱える社会問題の影響で、需要が増えている派遣・契約社員の雇用。今後ますます需要の増加が予想されるなか、企業がしっかり準備をしたうえで、派遣・契約社員の方を迎え入れる努力をすること、そして派遣・契約社員の方もより活躍するために、自ら「専門性」「積極性」「コミュニケーション」を意識して会社に貢献していく努力が求められてくることが分かりました。会社と個人両方が協力してながら、一人ひとりの価値観を認めて、より自由の利く働き方ができる社会をつくっていきましょう。

    プロフィール

    阿部 容子
    アメリカの大学を卒業後、ロンドン、香港などでの海外勤務、外資系アパレル会社での国内勤務などを経て、2012年にロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社に入社。IT、金融、現在は業界に限らず非正社員の採用をサポート。








    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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