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テレワーク

コロナがもたらした新たな働き方。さまざまな道を模索しつつ目指すべき方向を見極める(後編)

公開日:2020.7.14

    テレワークになると生産性・エンゲージメントはどうなる? 維持・向上の秘訣がここに!
    特集:with/afterコロナ時代の働き方

    世界中に甚大な被害をもたらしている新型コロナウイルスのパンデミック。その大きな波は、日常生活はもちろん社会生活にも急激に広まり、その対策に追われる事態となりました。そして外出禁止を余儀なくされたことにより、多くの企業が新しい働き方として、テレワーク導入に踏み切ったのです。

    本特集では新型コロナウイルスをきっかけに大きく変わった「働き方」と、さまざまな課題を解決しながら新しい働き方に取り組む各企業の先進的な施策をいち早く取材。テレワーク対策に悩む企業・経営陣・管理職の方々に向けてご紹介していきます。


    第1回
    株式会社オウケイウェイヴ
    経営管理本部 人事部 部長代理 山本 卓也氏

    コロナがもたらした新たな働き方。さまざまな道を模索しつつ目指すべき方向を見極める(後編)
    国内最大級の Q&Aサイトを運営する株式会社オウケイウェイヴ(以下、オウケイウェイヴ)。前編(リンク)では、新型コロナウイルスの影響で9割以上の従業員が一気にテレワークへと移行した、同社のテレワーク導入経緯や運用方法、新たな取り組みなどについてお聞きしました。

    後編では、引き続き経営管理本部 人事部 部長代理の山本卓也氏に、実際にテレワークを導入して変化した働き方やそれに対する課題、そして今後もテレワークが続いた際に懸念される問題点や対処方法などについてお話しいただきます。

    この記事は2020年6月に取材した内容をもとにしております。


    「オウケイウェイヴに入ってよかった」と思える環境を。みんなの拠り所としてオフィスを維持していきたい

    先ほどお伝えしたように、私たちオウケイウェイヴは今年の1月にグループ会社とともに新しいオフィスへ移ったばかりで、現在、従業員の出社率は1~3%です(2020年6月現在)。新オフィスのうちオウケイウェイヴとして使っている200坪ほどの面積に、多くても10人ほどの出社という状況。もしもこの新型コロナウイルスの問題がわかっていたら移転しなかったかもしれませんが、もちろん、そんなことは予測不可能なので仕方ありません。

    しかし、、事前にテレワーク導入の準備を進めていたことで、このような状況でも問題なく業務を進められる仕組みが整っています。そして、6割程度と想定していた出社率は、今後withコロナを踏まえた働き方に対応するため、3~5割くらいに変更する予定です。ソーシャルディスタンスを保てることを前提に、オフィスの縮小なども検討してくことになるかもしれません。

    そうなると、物理的なオフィスは不要なのではないか?という考えもあります。しかし、私たちにとってオフィスは単なる作業スペースではありません。仲間と何かを成し遂げるための場所、一緒に成果や成功を喜べる場として、物理的なオフィスは維持しつつ、テレワークはその時の働き方に合わせた選択肢として残していくことになるでしょう。従業員が仲間意識や連帯感を感じられ、「オウケイウェイヴに入社してよかった」と思える環境、従業員の拠り所となる場を大切にしていきたいのです。

    テレワーク成功の秘訣は、各人で異なる環境への互いの「理解」と「容認」のコミュニケーション

    ここまでお話ししたように、業務の効率化や生産性の維持向上については、事前の準備や都度の対応でクリアできていると思いますが、一番心配なのは従業員のエンゲージメントの低下です。また、社会的には家庭の状況などがテレワークの問題となっているケースも多いようです。

    もちろん、オウケイウェイヴも従業員の家庭環境はさまざまです。独身の人、結婚している人、子育て中の人も多くいます。時にはオンラインの打ち合わせ中に家族の声や生活音が聞こえたり、小さな子が顔を出したり、なんてこともよくあります。ただ弊社の場合、そういったことが業務の障害になっているということはありませんね。会社の社風かもしれませんが、この従業員と会えない状況の中でも互いの様子をうかがえる機会として、よいことと捉えている感じがします。私もよく画面を通して従業員の子どもと遊んでもらったりしますよ。

    テレワークにはどうしてもプライベートがあらわになってしまう場合があります。それをルールや制度などで排除しようとするよりも、そういったこともコミュニケーションの一つとして許容できる社風が社内にあるかどうか、というのはテレワーク運用時の成功に影響するかもしれません。

    コロナ終息後を考える。テレワークを長期的に考えた社内への提案

    そもそもオウケイウェイヴでは、働き方の一つとしてテレワークの導入を進めていたため、先述のとおり、コロナが落ち着いた後も継続していくつもりです。そして、この状況は今後も長く続いていくと予想されます。その際に考えていかなければならないことは多々あるはずです。

    例えば、自宅で業務を行わなければならないことに、強いストレスを感じる人も多いでしょう。そういった環境下で、いかに心身の健康を保つ方法を考えていく必要があります。

    どうしても自宅勤務だと夜遅くまで作業してしまって翌朝起きられなかったり、人と会わないからと身だしなみに気を遣わなくなってしまったりしがちです。だからこそ、まずは日々のリズムを整えていくこと。そして、いくら自宅といってもTPOをわきまえる必要があるでしょう。人との約束や身だしなみなど、テレワークの時でも、普段仕事をしている時と同じようにした方がよい、と考えています。働くリズムをそれもリズムをつくりだす大切なポイントだと思うので、出社していた時にしていたことは、テレワークでもしていくとよいと思います。

    そして、オンラインの業務が中心になると、今まで以上に従業員とのコミュニケーションが重要になります。できるだけお互いの顔を見て話せる状況をつくることもコミュニケーションには大切なのではないでしょうか。

    しかし、これらは決して規定として周知させているわけではありません。私はルールをつくることがあまり好きではなく、オウケイウェイヴの社風も同様です。ですから、人を強制したり、監視したりするのではなく、よりよい方向へ導けるような提案をしていきたいと考えています。X理論・Y理論(※)という相反するマネジメント手法がありますが、それでいうとY理論です。共感し納得したうえで、自分から行動していってほしい。なんでもかんでもルール化する必要はないと考えています。

    自社に合った働き方を見つければ、テレワークでも生産性の維持向上は実現できる

    ここまでお話ししたwith/afterコロナの働き方は、あくまでも私たちオウケイウェイヴの取り組みで、これがどの企業にも通用するわけではありません。弊社の場合は中途入社の従業員が多いため、制度やルールで細かくやり方を決めるよりも自主性に任せて業務を進められるような仕組みを多く取り入れています。新卒が多い企業であれば、細かな部分まで規定を設定する必要があるかもしれないし、自分たちで業務をつくりだしていける従業員が揃っているなら、各人に任せることもできるでしょう。

    テレワークの運用や課題解決の方法は一つではないと、私は思います。テレワーク導入の準備を進めていた会社、難しいと決めつけて検討していなかったけれど、今回の自粛によって可能性を見出した会社、もちろん、テレワーク自体が難しい会社もあるでしょう。しかし、前向きに考えれば、今回のコロナ禍のおかげで、多くのお手本が周囲にあるともいえます。それぞれの環境に合う運用方法を探し、試してみることが大事。もしも失敗したとしても、取り戻せないモノはないと思います。

    今もまだ、テレワークの導入や運用方法に迷っている企業の経営者、人事担当者は多いのではないでしょうか。特に、突然テレワークを始めなければならなかった方々は、本当に大変だったと思います。私たちオウケイウェイヴは幸運にも事前に検討し、準備することができましたが、それでも運用しながら見えてきた発見や課題があり、よりよい方向へ進むために常に検討を重ねています。

    ただ確実に、今回の新型コロナウイルスによって私たちの働き方は大きく変化しました。過去の働き方を続けられる企業はごく一部でしょう。変化を成功させるには、多くの成功例・失敗例から、自社に合った方法を試してみること。きっと新たな働き方の道が見つかるはです。


    前編・後編とお届けしてきた、テレワークに対するオウケイウェイヴの取り組み、いかがでしたか? 新型コロナウイルスによって、私たちは生活も働き方も、大きく変えざるを得ない状況となりました。しかし、それをただ嘆いて立ち止まるか、前を向き、新たな道を模索し進むなかで、企業の今後は大きく変わることでしょう。

    山本氏が語るように、最初から100%成功している企業などなく、どんな企業も自社に合う方法を探し、試行錯誤を続けているはず。今回の記事はきっと、新しい働き方に悩む方々にとって好例になることでしょう。

    ※X理論・Y理論
    X理論:性悪説にもとづいた理論で、命令・強制・監視などで管理するマネジメント手法。成果が上がれば報酬を与え、できなければ罰を与える

    Y理論:目標や責任など、その人にとってよい機会を与えることで、自ら行動するようにしていくマネジメント手法で、性善説にもとづいた理論

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    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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