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テレワークで新入社員研修はできたのか?!

新型コロナウイルスの拡大の影響を受け、多くの会社がテレワークへと切り替えました。突然のテレワーク導入により、不安を抱えた従業員の方も多かったのではないでしょうか。しかし、今年4月に入社した新入社員もその例外ではありません。テレワークを奨励する会社の中には、5月まで新入社員を一度も出社させない、という会社もあります。

また、楽天株式会社や凸版印刷株式会社などは新入社員の研修をテレワークで行うと発表。楽天では4月1日から新入社員に対して、ビジネス基礎研修などをビデオ会議システムで行っています。

そんな中、下記のような不安を抱えた人事担当者も少なくありません。

「社会に出てから仕事をしたことがない新卒社員がテレワークで業務ができるのか?」
「そもそも予定していた新入社員研修はどうなるのか?」
「テレワークでの研修は成り立つのか?」

株式会社ディスコの調べによると「新入社員研修の規模を縮小する」と答えた会社が40.3%あったのに対し、「新入社員研修をWebで行う」と答えた会社は16.0%と全体の2割程度にとどまりました。

4月の入社から約2カ月が経ち、人事担当者はテレワークの中で新入社員への研修は実現できたのでしょうか?また、これからの新入社員研修のあり方について考えてみましょう。

新入社員への研修ができるのか?

これまでは、4月1日の入社式で新入社員を迎え、社会人としての基礎や、仕事を始めるための基本的なスキルを合同研修という形で一斉に学ぶことが常識とされてきました。

しかし、今年は状況が異なります。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、会社に出社して大人数での合同研修はを行うという企業はほとんどありませんでした。今年は、これまでとは違うスタートを切ることになったため、新入社員への研修やオンボーディングに不安になった人事担当者の方も多いでしょう。しかし、経営者や人事担当者よりも不安を抱えているのは新入社員自身です。「ずっと自宅で勉強しているけど、これが会社で役立つのかわからない」「そもそも戦力として会社に貢献できるのだろうか」「急にリストラになってしまわないだろうか」など、不安は尽きません。その不安を取り除くためにも重要なのはコミュニケーションと定期的で実践に役に立つ研修です。

とは言えいままでのような研修方法はできません。そこで今、考えられる研修の方法は大きく2つです。「インプット研修」と「リモート研修」です。まず1つ目の「インプット研修」は、在宅期間中はインプット(課題図書や課題動画の視聴など)を実施する研修です。まずは、徹底的にインプットを増やします。新入社員ごとにインプット研修の進捗状況をチェックして、進みが悪い人には注意を促します。

リモートワークが中心の現状ではどうしても実務内容沿った研修ができず、研修期間も延びてしまいます。そのことが新入社員のモチベーション低下を招かないよう注意する必要があるでしょう。「インプット研修」ばかりが多くなると研修の内容が「知識」のみに偏ってしまうことが懸念されます。「本当にこの知識は会社で使うのか?」と、新入社員が不安を感じないように、その知識が実務でどのように役立つのかまで含めた研修内容にしましょう。また一人で黙々と研修を行うだけでは、どうしてもエンゲージメントは低下してしまうでしょう。その打開策としても成果を発揮できるのが「リモート研修」です。

リモート研修って、何をどうやるの?

リモート研修とは、オンラインツールを使って行う研修のことです。ただ、これまで行われていたオンライン研修とは異なります。従来型のオンライン研修(eラーニング)は受講者が動画を視聴して行うもので講師から受講者(新入社員)への一方向の情報伝達が中心となっていました。

一方、「リモート研修」は、講師と受講者が互いにコミュニケーションをとりながら行える研修です。オンライン研修とリモート研修の大きな違いは、そこにコミュニケーションがあるかということですが、エンゲージメントを維持するためにはきわめて重要な要素です。

新入社員側からすると、講師とコミュニケーションをとりながら研修を受ける方が自分が会社の一員であると言うことを実感できます。また、わからないことがあればすぐに質問することもできるので、研修内容に対する理解度も高まります。リモート研修は少し工夫をすることで、今までの合同研修と同じ効果を発揮することができるのです。

リモート研修を効果的に行うためには3つの準備が必要です。1つ1つクリアして研修を成功させましょう。

1.リモート研修が可能な環境をつくる

研修で使用するオンラインツールを決定し、新入社員がストレスなく研修に参加できる環境を整えてあげましょう。会社からパソコンを貸与したり、ネット環境がよくない社員がいればネット回線を整えるコストは会社側で負担することも検討しましょう。
(GoogleのHangoutmeetsや、zoomなどさまざまなオンラインツールがあります。どのツールがあっているか、試してみることをおすすめします)

2.研修のコンテンツを用意する
研修を組むうえで大切なことが4つあります。

・アウトプットが出せる(まとめた資料を作成したり、発表したりできる)
・同期とコミュニケーションをとりながら進められる
・色々な社員と話す機会がある
フィードバックを与えられる

ただ動画を見せるだけの研修では、従来(一方通行)のインプット研修と変わりません。リモート研修では、講師と新入社員がコミュニケーションを取ることができるので、インプット→アウトプット→フィードバックのサイクルを回すことができます。講師から与えられた課題に対して新入社員がその課題に対する解決策を考える。そして考えた解決策を講師に提案し、良かった点、悪かった点をフィードバックしてもらう。

対面での研修と同じようなやり方をすることがポイントです。講師と新入社員がコミュニケーションを取れることが、オンラインを使ったリモート研修ならではのメリットになります。

3.通常以上のコミュニケーション機会を設けること

テレワークの導入を検討した時と同じように、「オンラインツールでコミュニケーションが取れるのか?」と不安に感じた人事の方も多かったはずです。しかし、20卒の新入社員はPCやスマートフォンが周りにある環境で育ってきた世代(ミレニアル世代)です。彼らは、さまざまなオンラインツールを使いこなして人間関係を構築してきているので、オンラインツールを使ったコミュニケーションには慣れています。

一方、オンラインツールには、直接的なコミュニケーションよりも伝えられる情報量が少ないというデメリットがあります。そのデメリットを解消するために、通常よりも多くコミュニケーションの機会を設けましょう。例えば、研修の終わりに「わからないことがあれば、なんでも聞いてね!チャットでもテレビ電話でもなんでも良いよ」などと伝えることで、研修を受けた側からの発信を受けられるようにしましょう。そうすれば新入社員の不安も解消するでしょう。質問専用のチャットルームを作るなどすれば、Q&Aを共有するための手間を省けるのと、受講者内でのコミュニケーションも発展させられるかもしれません。

このようにリモート研修には準備が必要ですが、リモート研修を実施することで新入社員の不安を取り除くことができれば、十分に実施する価値があるのではないでしょうか。

リモート研修をやってみた

4月からリモート研修を実施していた会社の人事担当者が気を付けていた点をまとめました。

1.研修コンテンツの内容とフィードバックの徹底
・本来4月に実施することを計画していた研修をそのまま実施した
・在宅期間終了後、再研修をしなくてすむように実務につながる研修を優先した

多くの新入社員が「新型コロナウイルスがいつ終息するかわからないから、何月頃から仕事ができるのだろうか?」と不安を抱えているでしょう。社会人になったという実感を得るために、実務に結びつく研修を実施することが重要です。また、本来4月に計画していた研修を、方法を変えるだけで目的を変えずに実施することができています。

例えば、「自社商材を覚える」ことを目的にした研修。

従来の合同研修であれば、新入社員全員が講師である先輩社員の話を座って聞き、メモを取ることでインプットする。アウトプットとしては、自分でレポートやプレゼンテーションにまとめて発表し、チームメンバーや先輩からフィードバックをもらう方法を取っていました。

今回のリモート研修では、商品パンフレットやランディングページなどをあらかじめ自分たちで調べ、わからなかったところだけを先輩社員にテレワークで質問させます。そして説明資料を作り、先輩社員に見てもらいます。

こうすることで、質の高いインプット→アウトプット→フィードバックのサイクルを回すことができます。大切なのは、先輩社員からのフィードバック。アウトプットに対してしっかりとフィードバックすることで、次の研修のアウトプットに活かすことができるのです。

また、従来の合同研修の場合、限られた時間の中で多くの知識を詰め込むインプットが多く、アウトプットまで行きつかないことが多くありました。リモート研修では、わからなかったところだけを先輩社員に質問することで研修の時間を大幅に短縮。先輩社員も都合の良いタイミングでフィードバックに時間を作れるので効率化も図れるでしょう。人事担当者は事前に、研修の流れを先輩社員に伝えておくことでスムーズに研修を行うことができるでしょう。

2.リモート研修の実施時間
・始業時間に朝礼を行う
・決められた時間にチャットを使って進捗を報告する

入社後一度も出社できていない新入社員は、学生時代の生活習慣がそのまま残っている可能性もあります。人事担当者は、実際にオフィスに出勤するときと同じ生活スタイルをするよう、新入社員に伝える必要があります。

例えば、「先輩社員の1日の生活」を例にあげながら説明すると良いでしょう。何時頃に起床し、服を着替え、朝食をとるのか、そして終業後は何時頃に夕食を食べ、お風呂に入り、就寝するのか、という生活の流れです。新入社員の体調管理を把握することも人事の仕事です。

そして、アウトプットを作ってもらうときにも、進捗報告を欠かさないようにしましょう。テレワークのデメリットである「自己管理ができていないと生産性が低くなる」というのはリモート研修でも同じです。アウトプットの進捗を決められた時間に報告をしてもらうことで、時間管理の力をつけることができます。

3.コミュニケーションの頻度
・いつでも連絡が取れるようにWeb会議ツールやHRシステムを導入
・グループを組んでアウトプットに取り組む

リモート研修を行ううえでの、人事担当者の不安の一つが、「受講する新入社員の反応が見えない」というものです。今までの合同研修もそうですが、1対大人数であれば一人ひとりの反応がわかりづらく、リモート研修となればなおさらのことです。それなら、いつでも個別に連絡が取れるようにWeb会議ツールやHRシステムを開放しておけばいいのです。

会社側から新入社員にこまめに連絡を取ることで、一人ひとりの反応を見ることができます。さらに、新入社員からの質問を受けることで「ちゃんと見てもらっている」という安心感を与えることができます。

また、どうしてもアウトプットを一人で作成していると、テレワークならではの「孤独」を感じることがあります。不安を抱えている新入社員を一人にするのではなく、2~3人のチームを組んでアウトプットに取り組むことで、自然とチームワークを学ぶことになります。また、同期とつながりを持ち続けることでチームや会社に対するエンゲージメントや帰属意識も高まるでしょう。

以上のように、リモート研修を行っていた会社は、「コンテンツ」「実施時間」「コミュニケーションの頻度」この3つを意識して実施していました。

しかし、リモート研修だけでは新入社員一人ひとりをフォローすることは難しいと感じている人事担当者が多くいます。人事担当者が一人ひとりと個別面談を実施することも重要です。1日10分でも、新入社員一人ひとりと話す時間を取ることで、チームや会社に対するエンゲージメントを高めることができます。人事だけでは手が回らない会社では、各部門の部門長や先輩社員に協力してもらいましょう。

まとめ

リモート研修を実施した会社を調べていて感じたことは、「テレワークでも新入社員研修はできる」ということです。

新入社員研修は「このチームで活躍したい」という会社へのエンゲージメントを高め、学生から社会人へ成長させることが目的となっています。この目的を達成できるのであれば、今までのやり方(合同研修)に無理にこだわる必要はないでしょう。

新入社員が入社と同時に多くの会社がテレワークへの切り替えと、例年とは違う2カ月の中で、試行錯誤した人事の方も多くいらっしゃったのではないでしょうか?

新型コロナウイルスの影響により、新入社員も在宅での業務になりました。働き方や研修方法も見直しを余儀なくされましたが、この機会に今までの研修方法を見直す良い機会となるはずです。

この2020年4月に起きた変化、それに対応した経験を基に新入社員研修や新卒フォローのあり方を今一度考え直してみましょう。

執筆者
株式会社アックスコンサルティング
人材開発グループ リーダー 村山みき2012年4月に株式会社アックスコンサルティングに入社。
2017年10月から人材開発グループのリーダーとして、求職者の採用面談から入社後のサポートを担当。新入社員の採用とオンボーディング、定着のために日々尽力している。

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