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人材育成・研修

組織変革を成功へ導くのは、「選ばれし特別なリーダー」ではなく、一人ひとりが発する小さなリーダーシップだった

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「リーダーシップを発揮できる人材がいない」とお悩みの企業は多いようですが、そもそもリーダーシップとはいったいどういうものなのでしょうか。
「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書(日経BP社)」の著者であり、ビジネス変革プロジェクトを実行しつつ、社内のリーダーをも育てる「育つ改革プロジェクト」を推進する白川克氏(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 バイスプレジデント)より「リーダーシップ」についてお話を伺いました。


「絶望的に足りないリーダーシップ」を
プロジェクトの場で育てるという試み

白川克氏が執筆した1冊「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書(日経BP社)」。本書の冒頭で述べられているのが、「日本はリーダーシップが絶望的に足りない」ということです。さまざまな企業でファシリテータ―として幅広い改革プロジェクトを担当してきた白川氏は今の組織の現状をこう分析します。

「何かプロジェクトをスタートする際に、現場に任せられる人がいないんですね。加えて、その上司のリーダーシップも怪しいケースもあります。自分の部下から力を引き出すことができる人がいないということが問題です。課長クラスの方や中堅のエースの方とお仕事をしますが、いざ『変革プロジェクトやりましょう!』となると、そのクラスの人材すら何をやっていいかわからないという状態です…。やり方を説明しても手が止まることが多いんです」

今の日本の企業には、全社的な変革はおろか、社内の少しの改善、採用方法の変更などの軽微なことですら、実行できる人がいない。それが今回、白川氏が本を執筆するきっかけとなったそうです。

「リーダーと言っても、強いカリスマ性を持つリーダーが欲しいと言っているわけではないんです」と白川氏。

実は、リーダーシップの取れる人間を育てるのはそれほど難しくなく、周りの人間に少しだけ影響を与えて引っ張っていけば、各自が持っているリーダーシップの力が徐々に育つものなのだそう。白川氏はこの変革リーダーとなり得る人材の育成を、プロジェクトと同時に進行させたのです。

「担当したプロジェクトに参加した人から『仕事のスタンスが変わりました』と言われました。これがまさにその人がリーダーとなった瞬間です。もともとポテンシャルが高いのに、『言われたことだけをやります』というスタンスの人から、積極的で自主的な言葉を聞くことができたら成功です。こうやって、10人のうち1人しかいなかったリーダーシップを発揮できる人を7人にできれば成果として十分。それぞれが得意な場でリーダーシップを取ることができるようになります」と白川氏は語ります。

部下を束ねる単独のリーダーではなく、仕事内容によってそれぞれがリーダーシップを発揮できるチームを育てること。それこそがプロジェクトを成功に導く大きな武器となるのです。

リーダーシップを発揮できる
「特効薬」なんてない

冒頭でお伝えしたように、リーダー不足に悩んでいる企業は多く、管理職は社員にリーダーシップを発揮してもらう方法に悩んでいます。それでは、リーダーシップを発揮するためのモチベーションはどう高めればよいのでしょうか?

白川氏曰く、
「リーダーシップが取れるようになるために、スキルアップのプログラムや大げさな施策は不要です。そもそも、リーダーシップが取れるようになる『特効薬』なんてありません。私は『もっとリーダーシップを発揮していこうよ』なんて言いません。でも結果としてリーダーシップを楽し気に発揮してる人が多い。それは、ある目標や目的に対して社員間で共有・共感ができているからです、『こういう風にしたい、こうなったらいいよね』と誰かがリードするようになると、自然に他のプロジェクトメンバーもリーダーシップを取るようになるんです」とのこと。

白川氏が過去に担当したプロジェクトでこんなことがあったそうです。

「13年ほど前、あるシェアードサービスセンターの立ち上げを手がけました。その後、久しぶりにお邪魔したときに、そこの人たちが実に生き生きと仕事しているのに大変驚きました。詳しくお話を聞くと、そのセンターのスタッフは立ち上げのプロジェクトが終了して通常業務になってからも『今年は法律が変わるからここを変えよう』、『バーコードの導入』など、毎年少しずつ業務内容の振り返りと改善を続けていたのだそうです。ほとんどの人はプロジェクトが終わると『やれやれ……』って元の受け身の状態に戻ってしまいますが、なかにはプロジェクト実践中の作業の仕方をずっと使ってくれている人もいます。その好例がこのシェアードサービスセンターですね。自分たちがより良く効率的に仕事をすることを考えてくれていたんです」と白川氏。

プロジェクトをきっかけとして振り返りの習慣が付けば、「こんな風に業務を良くしたい」という欲が出てくるようになります。結果、実行に移す過程でリーダーシップが出てくるのです。また、良くしたいという希望を受け入れてくれる土壌があるからこそ、リーダーシップを発揮できるのでしょう。

「そもそも、慣れているやり方を変えるのは一般的にストレスになると考えられています。でも、良くしていくことを楽しんで、変化することに慣れると楽しくなるはず。そこまで行けたら理想的かもしれませんね」と白川氏。

「リーダーシップは単なる技術で、学ぶことで身に付け発揮できます。生まれ持った天賦の才ではない」と話す白川氏が進める「育つ変革プロジェクト」。

会社の変革を進めながら、同時にリーダー不足をも解消するこの方法は、そこで働く人たち、さらには組織そのものを成長させ、導く方法と言えるでしょう。

プロフィール

白川克(しらかわ・まさる)氏

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズバイスプレジデント。一橋大学経済学部卒。中堅ソフトハウスでシステム開発を経験後、2000年ケンブリッジに転職。以来、IT投資計画策定、人事、会計、販売管理、顧客管理、ワークスタイル改革、全社戦略立案など、幅広い分野のプロジェクトに参加。「空気を読まずにお客様にとって正しいことを言い、お客様とともに汗をかいて実行しきる」がコンサルティングモットー。

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